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大腸ポリープ Q & A
 大腸ポリープとは
●なぜポリープは怖いのか?
 企業や地域の集団検診、人間ドックなどで「大腸ポリープがあります」といわれて、驚いた人も多いのではないでしょうか。大腸ポリープはある程度以上の大きさになると、がんを含む可能性が高くなります。ポリープがあると言われたときにみなさんが抱く不安も、まさにこの「がんではないのか?」と思う点にあるのではないでしょうか。大腸ポリープは自覚症状がほとんどなく、本人が気がつかない間に大腸にできています。そのため、検診や人間ドックで初めて見つかることが多いのです。後で詳しく解説しますが、確かに一部の大腸ポリープは大腸がんのもとになります。日本では大腸がんによる死亡者は増加傾向にあり、2015年には肺がんや胃がんを抜いて最も発生率の高いがんになるとも言われています。
 しかし、ポリープの段階で発見されることは、ある意味で幸運ともいえます。ポリープの段階であれば、がんが含まれるとしても早期のがんである可能性が高くなります。また、ポリープは大腸がんの発生母地になる可能性があるだけでなく、その存在自体が大腸がんになりやすいかどうかを示す指標であると考えられます。大腸がんは早期に発見できれば、治りやすいがんのひとつです。ポリープの段階で発見されたのであれば、早期治療が可能になるのです。
  大腸ポリープというものの正体を知り、科学的なデータをもとに予防に努める。そうした積極的にポリープに立ち向かうことが、がんで命を失わないための方策であり、また今、患者さんたちが抱えている不安をやわらげることでもあるのです。
●がんになるポリープ、ならないポリープ
 ポリープがあると言われた人は、「すでにがんがあるのではないか」「そのうち、がんに発展するのではないか」と不安をもたれるのではないでしょうか?しかし、ポリープと呼ばれるものが全て同じようにがんになる危険をもつわけではありません。
  ポリープにもいくつかの種類があります。「ポリープ」というのは、イボのような突起物を意味する言葉で、ひとつの病気を指す言葉ではないのです。たとえば鼻タケも鼻粘膜から発生した突起物ですからポリープです。大腸の場合、大腸の粘膜からその内側の管腔に飛び出したイボのようなものは、すべてその形からポリープと呼ばれます。
 ポリープは大きく「腫瘍」と「それ以外のポリープ」に分けられます。(図1)腫瘍以外のポリープには炎症性のポリープや過形成によるポリープなどがあります。炎症性のポリープは潰瘍性大腸炎、クーロン病などの腸の炎症性の病気や感染症など、腸に強い炎症を引き起こす病気にかかった後にできます。過形成性ポリープは歳をとるとほとんどの人にみられるもので、一種の老化現象とも言えます。この2つのタイプのポリープは、基本的に正常細胞が集まってイボ状になったもので、がんとは無関係です。放置しても大腸がんになることはほとんどありません。

図1 ポリープの種類

 問題は、腫瘍に分類されるタイプのポリープです。これにも良性の腫瘍と悪性の腫瘍があります。悪性の腫瘍がすなわち「がん」です。ただし、がんといってもポリープ状の形をしているのは、多くの場合早期のがんです。進行がんになると、もはやイボのような突起ではなくなるのでポリープとは呼ばれなくなります。
 良性の腫瘍は、「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれています。大腸ポリープの80%は腺腫で、特にS状結腸や直腸によくできます。そのため、一般にポリープという場合は、この腺腫を指す場合が多いようです。そして、大腸がんとの関係で一番問題になるのが、この腺腫なのです。がんと同じように、腺腫は粘膜上皮を形成する腺細胞が異常をきたして増殖したものです。そのため、大きな腺腫はがんになる一歩手前の状態(前がん状態)と言われています。実際に、多くの大腸がんは腺腫から発生すると考えられています。
 このようにポリープといっても、そのタイプによって意味合いは全く異なります。無用な心配をしないためにも、ポリープがどのタイプなのか担当医に確認することが大切です。腫瘍か腫瘍以外のポリープかは内視鏡でほぼ判断がつきます。判断が難しい場合には、安全性を期して腫瘍と同じ扱いをする、つまりある程度以上の大きさがあれば、切除して組織を確かめるのが原則です。
●腺腫が「がん」になる可能性
 では、腺腫ががんになる可能性は、どれくらいあるのでしょうか?
 以前は、「腺腫はすべて前がん状態である」、つまり、がんになる一歩手前の状態であると考えられていました。しかし現在では、がんになるのは腺腫のほんの一部であることがわかってきました。ならばどのような腺腫ががんになるのでしょうか?ここでポイントになるのが、腺腫の大きさです。腺腫の直径が1cmを超えた場合、急激にがんを含む可能性が高くなることが示されています。(図2)これは、日本に限らず、世界中の調査でも同じ現象が認められています。

図2 切除された大腸ポリープの組織

 また腺腫は、ある期間同じ大きさにとどまり、ある時期から大きくなり始め、またその大きさにとどまるというように段階的に増大していき、一直線に大きくなることはないようです。その理由はよくわかっていませんが、遺伝子の変異とも関係しているのではないかと考えられています。よく知られているように、がんはがん遺伝子やがん抑制遺伝子など、複数の遺伝子の異常が積み重なって起る病気です。(図3)のように、遺伝子が傷ついて変異を起こすにつれて、正常の組織から腺腫、さらにがんへと進展していくと考えられています。おそらく、腺腫の段階的な増大も、こうした遺伝子の変異と大きく関係しているのではないかと思われるのです。つまり、ひとつの遺伝子が傷つくと増大のスピードが増し、また次の遺伝子が傷つくと次の増大が起るという具合です。



 しかし、どういう腺腫が将来的に大きくなっていくかを、小さいうちから判断することは困難です。わかっているのは、1cm以上の大きさになると、がんを含む可能性が高くなるということなのです。
●「がん」か「腺腫」か?
 では「がん」と「腺腫」はどのように見分けるのでしょうか?専門家ががんと診断する時には、コブになった組織や細胞の姿が正常の組織や細胞とどのくらい違うかを判断の基準としています。これを「異型度(いけいど)」といいます。実際には、内視鏡などでとってきた組織の断片を顕微鏡で観察(病理検査)し、その形から診断を下すわけです。これを「病理診断」といいます。
  正常な組織では細胞はみな同じような形をしており、一定の秩序に従って整然と並んでいます。ところががんになると細胞がゆがんだり、並び方の秩序がなくなります。
 実際には正常な組織とがんははっきりと2つに分けられるものではありません。両者の間にはいくつかの変化の段階があります。腺腫もその中間段階に含まれています。正常の組織とどれだけ違っているかによって軽度異型、中等度異型、高度異型という段階に分類します。異型度が強くなるほどがんに近づいた状態ということになります。

 正式には検査された組織は、正常からがんまで、5つのグループに分類されます。
 1・正常
 2・炎症性の変化がある
 3・腺腫性で軽度、または中等度の異型=腺腫
 4・腺腫性で高度の異型またはがんを疑うもの=腺腫とがんの一部
 5・明らかながん
 (大腸がん取り扱い規約より改変)

 グループ1であれば心配なし、グループ5であればがん、その中間に位置するのが腺腫です。腺腫は異型度が強いほど、よりがんに近くなり、またがんになる可能性も高いと考えらています。腺腫が大きくなるほど腺腫の異型度は強くなる傾向があるので、ここでも大きさは、ひとつの指標になります。
●摘出が必要なポリープとは?
 以前は、腺腫は前がん状態であるとみなし、すべての腺腫が発見され次第、摘出されていました。しかし、現在では腺腫でも、がん化の危険度の高いものにしぼって選択的に摘出するという考えに変わってきています。そこで、日本では5mm以上の大きさのポリープが摘出の対象とされています。5mm未満のポリープは経過観察でよいと考えられていますが、科学的な根拠はありません。したがって、平坦型で陥凹のあるものや、形がいびつであるなど特殊なタイプのものは、5mm未満でも発見され次第、摘出されます。
 一方で、発見したポリープは全て摘除するという考え方もあります。理由は発見したポリープが「がんになる、ならない」ということのみならず、「小さなポリープをすべて取り除いた後は大腸内視鏡を毎年受けなくてもよいのではないか」という考え方に基づいています。
●ポリープと無関係な「がん」
  ところで、大腸がんは本当にポリープにさえ注意していればいいのでしょうか?
 確かに、以前はすべての大腸がんは、ポリープの形から始まるとされていました。しかし、現在ではこの考え方は否定されています。ポリープから発生しないがん、イボにならずに平坦なまま、がん化することがわかってきたのです。
 こうした平坦ながんは、「デノボがん」と呼ばれています。これは、おそらく遺伝子変異の順番の違いからくるのではないかとする説が現在では有力です。大腸がんは遺伝子の研究が進んでいるがんです。(図3)のように、腺腫から発生するがんは、すでにどういう遺伝子が傷ついてなるかという筋道がだいたいわかっています。
 デノボがんの場合は、この中でK-rasというがを促進する遺伝子の異常を飛び越えて、いきなりp53などの遺伝子に異常が起るのではないかと言われています。(図4)



 大腸がんはポリープだけから発生するものではないこと、そして意外にデノボがんは多いのではないか、と最近は言われています。また、こうした遺伝子異常の筋道が解明されることで、将来的には細胞や組織の形でがんの診断(病理診断)をするだけではなく、遺伝子から精密に、がんの診断が可能になるのではないかと期待されています。
●大腸がんになりやすい家系
 大腸がんの中には親から子どもへと、高い確率で大腸がんのできやすい体質が受け継がれるものがあります。これが、遺伝性の大腸がんです。
 その代表が、家族性大腸腺腫症(大腸腺腫性ポリポーシス・FAP)と遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)です。ポリポーシスとはポリープがたくさん(多い場合で100個以上)できた状態のことです。家族性大腸腺腫症は10代で腺腫が発生すると考えられています。両親のどちらかがこの病気にかかっていた場合は、早目に内視鏡検査を受けたほうがよいでしょう。遺伝性非ポリポーシス大腸がんは遺伝子の異常を修復する遺伝子に問題が生じていることが原因と言われています。3人以上の血縁者が大腸がんなどのがんにかかっていて、そのうちの1人が50歳未満で大腸がんと診断されている場合はこの病気が疑われます。しかし、家族性大腸腺腫症も遺伝性非ポリポーシス大腸がんも、人に感染する病気ではありません。また、両親のいずれかにこの病気があっても原因遺伝子を受け継いでいるとは限りませんし、受け継いでいたとしても必ず大腸がんになるというわけではありません。
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がん臨床研究 : JPS
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